オフグリッド技術

Off-grid Technology

20年分の気象データを基にした
エネルギーシミュレーション

100% solar-powered and self-storing

WEAZERのオフグリッド技術は、太陽光と雨水といった自然エネルギーだけで生活を自給するために設計されています。その核となるのが、自社開発による高度なエネルギーシミュレーションです。

設置候補地における過去20年分の気象データ(日射量・降雨量・気温など)を解析し、最も厳しい環境下でも電力や水の不足が生じないように設計を行います。例えば、日照量の多い静岡と、降雨量が多く、冬でも気温の高い沖縄では、必要となるソーラーパネルや蓄電池の容量、断熱仕様が大きく異なります。Weazerはこうした地域特性を反映し、それぞれの場所に最適化されたシステムを構築します。

さらに、オフィス・ホテル・住宅など用途や利用人数、稼働状況に応じた消費電力や水量も加味して設計するため、利用環境に合わせた無駄のないプランニングが可能です。運用開始後は、実際の利用データを継続的に収集・解析し、シミュレーションの精度を高め続けることで、より持続可能で信頼性の高いオフグリッド生活を実現します。

また、このシミュレーション技術はARTHが特許を取得している独自技術であり、Weazerのオフグリッド設計を支える大きな強みとなっています。

エネルギー状況をモニタリングし
リアルタイムに消費を制御

Off-grid HEMS

Weazerには、独自開発の「オフグリッドHEMS(ホームエネルギーマネジメントシステム)」が搭載されています。

このシステムにより、太陽光発電量や蓄電池の残容量、雨水タンクの水量などを常時モニタリングし、現在の自給状況を一目で把握することができます。滞在中のゲストは、どの機器に電力を使っているのか、消費がどの時間帯に集中しているのか、過去の利用実績と比べてどれくらいエコな滞在ができているのかを、楽しみながら確認できます。ラグジュアリーで快適な空間に滞在しながらも、自然と共生する「少しエコな暮らし」を体験できるのは、WEAZERならではの価値です。

さらにこのHEMSは、過去の実績データと天気予報を組み合わせ、将来のエネルギーの状態を予測する機能を備えています。もし需給がひっ迫しそうな場合は、空調などを事前に最適制御して節電し、オフグリッドシステム全体の安定性を高めます。ここには、AIによる予測技術とIoTによるリアルタイム制御の両方が活用されています。

また、緊急時には電気自動車(EV)からの充電も可能で、その必要性やタイミングもHEMSが管理し、アラートで知らせます。つまりWEAZERで、建築や設備を含む多様なハードウェアを、このオフグリッドHEMSが統合的に制御することで、自然エネルギーに依存しながらも快適で安心なオフグリッド滞在を実現しています。

高い省エネ性能、
エネルギー効率を
実現するための技術開発

Heat Circulation

現代における「エネルギー」といえば、多くの人がまず「電気エネルギー」を想像します。電気は遠隔地へ効率よく運ぶことができ、都市と発電所が離れて存在する現代の社会構造に適した形態です。

しかし、私たちの日常で消費される電気の多くは、空調・給湯・調理といった熱エネルギーを生み出すために使われています。一方で、地中熱や温泉熱、生活の中で自然に発生する放熱など、私たちの身の回りには膨大な熱が存在しながら、その多くは活用されずに捨てられているのが現状です。

Weazer』は完全オフグリッド。外部から電気やガスを購入するのではなく、太陽光や雨水を用いてその場でエネルギーを生み出し消費する「地産地消型」のエネルギー設計を基盤としています。ARTHが開発したHeat Circulationは、その地産地消型設計だからこそ有効に機能する仕組みです。生活の中で生じるシャワーや浴槽の温排水、空調や暖炉の排熱を回収し、再び暖房・冷房・給湯などに利用することで、通常の住宅に比べて約3倍の省エネ性能を実現します。

捨てられてきた熱を循環させることで、限られたエネルギーを最大限に活かすことができるのです。

さらにこの仕組みを進化させたのが、デュアルソースエアコンです。

  • 通常の空冷エアコンは外気を利用して熱交換し、室内を冷暖房します。
  • 一方、水冷エアコンは、暖房時には温かい排水熱を、冷房時には冷たい地下水や雨水を熱源とし、高効率に空調を行います。

Weazerでは、この2つを季節やシーンによって自動的に切り替えます。通常時は高効率な水冷エアコンをベースに全体の約70%をまかなう一方で、夏や冬のピーク負荷時には空冷エアコンも併用し、必要な分だけ熱交換を追加。結果として、システム全体の総合的なCOP(成績係数)を高めることができます。

この仕組みは、ハイブリッド車のプリウスが「近距離はEVで効率的に、長距離や高負荷時はガソリンを使い分ける」ように、水冷と空冷の“二つの心臓”を状況に応じて最適に使い分ける発想です。常に高効率運転を維持しながら、負荷変動にも柔軟に対応できるため、オフグリッドの頑健性を大幅に高めています。

この熱循環技術とデュアルソースエアコンの導入により、Weazerはオフグリッドでありながらもサウナといった高エネルギー消費設備を備えることが可能になりました。ハードとソフトを統合したエネルギーマネジメントにより、持続可能かつ快適な未来の暮らしを実現する革新的な試みです。