WEAZER 西伊豆 Villa

プロジェクトのはじまり
WEAZER 事業のスタートは、代表の高野のアフリカ・ウガンダ視察から始まる。
首都カンパラでは、高級ホテルであっても停電が頻発して発生し、蛇口からは茶色の水が出る。日本では当たり前であるインフラの脆弱さを目の当たりにしたことが起点となった。


また、日本に目を向ければ、地方集落の電気・水道・ガスインフラもまた確実に弱体化しつつある。水道は猛烈なスピードで老朽化が進み、都市ガスのないエリアは、プロパンガスを使っているが、その運び手も減少・高齢化が深刻化している。また、ホテル事業を行えるような絶景地であればあるほど、電線や水道網は十分に整っていない。
「誰もいない荒野や離島等の絶景地で宿泊や滞在ができれば、どれほどの感動だろうか。 」こうして電線、水道、ガス等のインフラに頼らず、完全自給自足する、オフグリッド型居住モジュールの構想が始まった。

世界初の完全オフグリッド宿泊施設の開発
完全オフグリッドを実現するため、数年にわたる研究開発を重ねてきた。
まずはオフグリッドを成り立たせるために、どれほどの電気や水が必要になるかのシミュレーションが必要となる。過去の気象庁データを解析し、オフグリッドに必要な建物スペック(太陽光パネルの面積、屋根の集水量、蓄電容量等)を計算するシステムを開発。そして設置後はどれくらいの消費電力を使用したか、蓄電池や雨水は後どの程度残っているかが確認・見える化できるオフグリッド専用の HEMS(Home Energy Management System)の開発に取り組んだ(詳細は technology の項目に詳述)
加えて、オフグリッドに必要となる電気の自給化、水の自給化を担う機器メーカーや開発担当者をアサインし、上記のソフトウェアとハードを合わせた1つの製品としてのインテグレーションを推進した。

建築自体に関しては、インフラの制約なくどこにでも持っていけることがコンセプトであったため、工場で製作し、現地へ運搬可能なユニット建築を採用。ユニット建築であれば、設置工事自体は数日で完了し、大幅な工事短縮が見込まれる。地域や環境への負担も最小限にとどめることができ、離島や大規模な開発行為が難しいエリアでの建築を見越してのことであった。


ユニット建築を感じさせないデザイン
ユニット建築でありながら宿泊施設としての高級感と意匠性を担保するため、擁壁や大屋根を増築し、洗練された外観を実現。 蓄電池は意匠性の高いテスラ社の Power wall を採用したため、オフグリッドならではの特徴が分かるようにあえてエントランス付近に配置し、WEAZER ならではのデザインとした。


室内においては家具や壁に角度を与え、訪れた人々が絶景のオーシャンビューに正対できるよう設計。グレーを基調として、大判タイルを採用し、近未来的でモダンな高級感を演出。家具は長崎の造船家具を担うアジムよりアッシュ材の家具を調達し、高級宿泊施設としてのグレードに見合うようデザインしている。


開業後の WEAZER 西伊豆
こうして完成した世界初のオフグリッド型モジュールは、「WEAZER 西伊豆」として 2023 年 1 月に本格的にオープンした。世界初のオフグリッド型であること、環境への配慮、そして絶景地に調和する景観が評価され、開業直後から多くのメディアに取り上げられ大きな話題を呼んだ。
同年には、「オフグリッド」という新しさ、洗練された意匠性、さらには災害時に避難場所としても機能しうる点が高く評価され、グッドデザイン賞の特別賞を受賞している。
宿泊施設としても西伊豆という立地でありながら年間稼働率 93%を記録。2025 年現在においても高稼働を維持し、訪れる人々に食事やサービスも含めた感動と非日常の体験を提供し続けている。朝は駿河湾の美しい青い海、夕方は真っ赤に染まるサンセット、そして夜は満天の星空が広がる絶好のロケーションにて、自然や環境に配慮した特別体験を 1 日 1 組限定で提供している。




Type | Type U |
---|